ポセイドン・アドベンチャー

「ポセイドン・アドベンチャー」
(The Poseidon Adventure)

1972年アメリカ

[監督]
ロナルド・ニーム

[製作]
アーウィン・アレン

[音楽]
ジョン・ウィリアムズ

[出演]
ジーン・ハックマン
アーネスト・ボーグナイン
レッド・バトンズ
キャロル・リンレイ
ステラ・スティーブンス

[アカデミー賞]
第45回アカデミー賞
特別業績賞(視覚効果)、歌曲賞 

【introduction】
 大晦日の夜、豪華客船ポセイドン号は1400人の乗客を乗せてニューヨークからアテネへと向かう航海中に海底地震から発生した大津波に襲われ上下真っ逆さまに転覆してしまう。レストランで新年を祝っていた乗客達は一瞬にして地獄絵図へと変わりゆく船内でパニックに陥る。船員は船の浸水対策は万全なのでレストランから動かずに救助を待つように支持するが、乗客の1人フランク・スコット牧師(ジーン・ハックマン)は電気が生きている明るい間に海面に一番近い位置まで移動して救助を待つべきだと乗客達を説得する。しかしスコット牧師に賛同したのは僅か9人。スコット牧師を含む10人は生き残るために上下逆になった船内の上層、つまり「船底」を目指し、生き残るために必死に進んで行く。


【impression】
 パニック映画の先駆けと呼ばれる名作。この映画の作られた1972年当時はCGなど存在せず、ほとんどがスタジオのセットで撮影されています。莫大な資金をかけて作られたゴージャスなセットが生み出す緊迫感はまさに芸術。歪んだ船内から漏れ出したオイルの臭いを感じてしまう程リアルに作り込まれています。公開当時、リアルタイムで見た人は映画の枠を超えたアトラクションの感覚を体感したのではないでしょうか。

 この映画が見ている人を楽しませてくれる大きな要素は「上下真逆」になった船内が生み出すテーマパークのアトラクションのような刺激的な状況です。目の前に広がるのは上と下が180度ひっくり返ってしまった予測不能の異世界。そこから脱出していく様子は映画のタイトルの示す通りのアドベンチャーです。「ポセイドン・アドベンチャー」分かりやすくもワクワクさせられてしまう素晴らしい作品名ですね。

 そして、この映画の重要なポイントは壮大なスケールのパニック映画であるだけでなく、名優ジーン・ハックマン演じるフランク・スコット牧師の周囲に呑まれない確固たる意志。「神は一人ひとりの面倒を見ている暇はなく、人間は自ら努力して苦しみを解決すべき」という宗教の枠を超えた思想は乗客たちを脱出へと導いていく。力強く描かれるスコット牧師の人物像には大衆意見に惑わされず、自ら新しい道を見出して進め。という強いメッセージ性を感じます。これは映画という芸術がその当時の社会(現代にも同じことが言えますが)に疑問を訴えかけるメタファーだったのではないでしょうか。

 今から半世紀近くも前の作品なので随所に古さを感じますが、ゴージャスなスタジオセットとハリウッドスターの迫真の演技、そして何よりデジタルなど存在しない時代に人の手によって作り上げられた圧倒的スケール感はハリウッド映画の真髄を感じさせる傑作!

めぐり逢えたら

自分の中の五つ星映画を紹介しています。 読んでくれた方が、今夜はこれを観たい!と思ってもらえるレビューを目指してます。 TSUTAYAに行ったとき何を借りるか悩む人の支えになりますように。

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